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2011年5月31日 (火)

『映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想』(内田樹著) 映画に映っているものから見えてくるもの、映っていないものから見えてくるもの

現代思想家の言葉を引用した映画評ではなく、映画を通じて現代思想入門をしてしまおう、という映画評論である。

まず、「映画的なもの」という話から始まる。「何を意味するかわからないもの」が映り込んでいるということが「映画的」であり、しかし私たちは「何を意味するかわからないもの」から瞬時に意味を読みとっている。そういう交換が映画を観る、ということなのだろう。そして、その「何を意味するかわからないもの」に意味を与えることが「分析」ということなのだろう。

『エイリアン』が極めてフェミスト的な映画である、という論は内田先生の別の書物でも読んだことがあるが、ここまで映り込んでいるものを分析されるのも凄いと思う。小道具にいたるまでクドイくらい饒舌に、これがフェミスト的な映画であることを物語っているとは。

『大脱走』では逆に「言い落とし」から見えてくるものがある、ということを言っている。私はこの名作をまだ観たことがない(観たかもしれないが記憶にない)ので、今度、DVDで観てみよう。

その後、話は『北北西に進路をとれ』や『ゴーズトバスターズ』、『裏窓』などを取り上げる。ヒッチコックって、考えに考え抜いて映画を作ってたのですね。

最後は、アメリカン・ミソニジーの話。アメリカの男は何故アメリカの女が嫌いなのか、ということを分析している。私は「マイケル・ダグラスの出演している映画に良作なし」という経験則を持っているが、その理由も判った。フェミストのみなさんには「どうしてアメリカの男たちはここまで女を嫌うのか」という命題に向き合うことをお薦めしたい。そして、アメリカン・ローカル・スタンダードをすべての社会に当てはめることが有効なのかどうか、問い直していただきたい。

最後の話は「弔い」という概念につながっていく。日本で今、一番必要なのは「弔い」である。小型原子力発電所を搭載したロボットが空を飛びまわる未来を夢想した私たち「アトムの子ども」たちは、日本に投下された2発の原子爆弾の「弔い」をすることなく、原子力発電所を作り続けた。そして原子力発電所が事故を起こしたときにそれを制御する能力が足りなかったことが今回の事故で明らかになった。私たちは「弔い」をし、そして前に進むべきだろう。

映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想 (文春文庫)Book映画の構造分析―ハリウッド映画で学べる現代思想 (文春文庫)

著者:内田 樹
販売元:文藝春秋
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