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2011年5月 9日 (月)

『五分後の世界』(村上龍著) 五分前の世界では、日本人は「無知」のままで、生命を尊重できないまま、何も学んでこなかった

村上龍本人も、また村上龍ファンも村上龍の最高傑作と認める作品を10年ぶりに再読。

5分のずれで現われた、もうひとつの日本は人口26万に激減し地下に建国されていた。駐留する連合国軍に対してゲリラ戦を挑み続ける日本国軍のアンダーグラウンドの兵士たち。その5分後の世界に迷い込んでしまった主人公、オダギリ。

日本は先の戦争で、沖縄を見殺しにし、広島・長崎に原子爆弾を投下され、本土決戦をしないまま降伏した。5分後の世界はその後、さらに3発の原子爆弾を投下され、本土決戦の末に大日本帝国は消滅する。しかし、地下に潜った日本国民がゲリラとなって徹底抗戦を続ける。日本の国土は連合国に占領され、連合国は日本に入植し混血だらけの国になる。しかし、地下に潜った日本人はその誇りと、村上龍が好きな「科学的な合理性」を持って戦い続けている。

村上龍は、5分前の世界をこう解説する。

「もし、本土決戦を行わずに、沖縄をぎせいにしただけで、大日本帝国が降伏していたら、日本人は『無知』のままで、生命をそんちょうできないまま、何も学べなかったかもしれません。」

特攻隊、玉砕、集団自殺、バンザイ突撃。戦争で日本人はいたずらに生命を落とした。村上龍はそれを日本人が「無知」であったからだ、と解説する。そしてそれは、「民族的危機がなかったから」だとも。5分後の世界は、その民族的危機において、誇りと科学的な合理性をもって日本人は戦い続けている。

先の原発事故において、日本国政府も東京電力も、福島原子力発電所で働くひとたちや地域住民の生命の安全と健康を第一に判断し行動していただろうか。日本国政府は、子どもたちを20msvの放射線量の校庭で遊ばせることを良しとした。この国はいまだもって「無知」なままなのかもしれない。

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