『きみはポラリス』(三浦しをん著) この短編集で描かれる恋愛はすべて「危い」。そして、「危い」からこそ、これらの物語はどこかしらエロティックだ
著者がいろいろな場で発表してきた恋愛に関する短編集。
普通、短編集だと代表的な短編のタイトルをそのまま本のタイトルにつけることが多いが、この本には『きみはポラリス』というタイトルの短編は存在しない。ポラリスというのは「北極星」のこと。恋というものは、人生という航路を指し示すものなのであろうか。
しかし、この本で描かれる恋愛はすべて「危い」ものである。北極星は真北にあるはずのものなのだが、北極星自体も動いている。確かなものではないのだ。
だから、結婚というものも、確かなものではない。だから、結婚というものも「危い」ものとして描かれて然り。
そして、「危い」からこそ、これらの物語はどこかしらエロティックだ。
![]() | ![]() | きみはポラリス (新潮文庫)
著者:三浦 しをん |
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