『灰の迷宮』(島田荘司著) 吉敷ものの転機は消費税殺人事件かもしれないが、この作品ですでにその転機の芽生えが観られる
島田荘司の吉敷竹史ものの傑作の1つ。桜島の灰が降り注ぐ鹿児島を舞台にしている。
(あらすじ)
新宿駅西口でバスが放火され、逃げ出した乗客の一人がタクシーに轢ねられ死亡。被害者・佐々木徳郎
は、証券会社のエリート課長で、息子の大学受験の付き添いで鹿児島から上京中の出来事だった。警視庁捜査一課の吉敷竹史は、佐々木の不可解な行動や放火犯として逮捕した男の意外な告白から、急遽、鹿児島へ…。
吉敷が鹿児島で知り合う茂野恵美という女性が深い印象を与える。担当した当事者のために吉敷は初めて涙を流す。吉敷ものは、所謂消費税殺人事件が大きな転機となるが、それ以前の事件だが、この作品ですでにその転機の芽生えが観られる。
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