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2011年4月21日 (木)

『伊勢神宮の謎を解く』(武澤秀一著) 新しい国の要請が、アマテラスという新しい神を必要とした

本書は、「伊勢神宮はいつ誕生したのか」、「何故、皇祖神が伊勢に祀られてたのか」、「伊勢神宮に心の御柱と神鏡という二つの御神体が共存するのは何故か」といった謎に迫っている。

伊勢神宮に祀られているのはアマテラス。皇祖神とされる。伊勢は奈良から見て東、日の登る地でもある。太陽の神でもあるアマテラスを祀るに相応しい地であるように思えるが、実は伊勢神宮に最初に祀られていたのはアマテラスではなく、タカミムスヒ(高い木の神)であったという。そして、アマテラスはタカヒミスヒに仕える、「日のおばさん」的な存在でしかなかったという。では、何故、アマテラスがタカミムスヒに取って代わったのか。

タカミムスヒはヤマト王権に崇められていた神である。いわば、古い神だ。ヤマト王権から天皇による統治へ移行するにあたり、「古事記」という新しい神話が必要であったように、天孫である天皇家が、これまでも、そしてこれからもこの国を統治する、という根拠が必要であった。その皇祖神として白羽の矢が立ったのが、アマテラス。先の天皇である天智の遺志に背いて挙兵し、この国に「革命」を起こそうとしたのが大海人皇子。彼は伊賀、伊勢、尾張、美濃といった国の力を借りて、王権を奪取することに成功する。それらの国の力を借りて天皇となった天武は、それらの国で崇められてきた太陽の神、アマテラスを皇祖神に格上げをする。

高句麗の南下により百済が敗れ、百済を援護しようとするものの白村江の戦いで敗れ、朝鮮半島への影響力を失うばかりか、その侵略に備えて強力な中央集権国家を作ろうという動きが強まった。天智天皇がそれを始め、その子から政権を奪うことで天武がそれを引き継いだ。天武は、自らの正当性、正統性を表明する必要があり、自ら現人神とならんとした。天孫なのだから、これまでも天武の祖先がこの国を支配していたし、これからも天武の子や孫がこの国を支配する、その根拠として祀られたのがアマテラス。そしてアマテラスは奈良から見て日が登る地である伊勢の地に、天武の革命を支援した伊勢の地に祀られることになる。

「心の御柱」はタカミムスヒの、「神鏡」はアマテラスのご神体。天武が新しい神、新しい神話を作ろうとしても、奈良にはまだ古い勢力が残っている。その勢力を排除することはできないし、その力を借りることなしに、天武の革命は成就しない。よって、古い神と新しい神が同じ場所に祀られたままになっている。

私はかって三重県に住んだことがあり、伊勢神宮にもお参りしたが、次にお参りするときには、また違った見方、感じ方ができそうである。

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