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2011年2月14日 (月)

『そこへ届くのは僕たちの声』(小路幸也著) 「自分たちにしかできないことをする」。子どもたちの決意に泣かされる

SF小説というかファンタジー小説である。発端は、植物状態にあるひとからメッセージが届くという不可解な出来事から始まり、多発する謎の誘拐事件、そして最後の事件へとつながっていく。

この物語のキーワードは「ハヤブサ」である。この名前から、最近帰還した宇宙探査船のことを連想するかもしれない。この物語にも天文台が出てくるし、宇宙飛行士を夢見る少年も登場する。文庫版の表紙絵も星空をイメージさせるし、物語全体が宇宙というものにつながっているかのような印象を受ける。

途中から、「空声」そして「遠話」という特殊能力が明らかになってくる。特殊な子どもだけがもつ、この特殊な能力が事件を起こし、そしてある事件を解決する。

「自分たちにしかできないことをする」。子どもたちのこの決意は、まさにイノチガケの決意となるのだが、この「自分たちにしかできないことをする」というシンプルな決意こそ、実行することが難しい。しかし、子どもたちは、自分の命をかけてまで、多くのひとを救うために、「自分たちにしかできないことをする」のである。それがこの物語のクライマックスである。

そして、子どものそういう決意を”見守る”ことこそが大人の役割である。時にそれは苦しさを伴うかもしれないが、子どもたちが「自分たちにしかできないことをする」ことを助けることが、この世界をちょっとづつ良くしていくことにつながるのではないだろうか。

遠くの世界に行ってしまった「ハヤブサ」は宇宙のかなたに旅立っていったのだと思えば、もしかしから宇宙探査船「ハヤブサ」のように長い時間をかけて帰還するかもしれない。いつか戻ってくるかもしれない「ハヤブサ」にこの世界がちょっとでも良くなっていることを示すことが、彼らの生きる糧になっていることは素晴らしいことだと思う。

そこへ届くのは僕たちの声 (新潮文庫)Bookそこへ届くのは僕たちの声 (新潮文庫)

著者:小路 幸也
販売元:新潮社
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