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2011年2月12日 (土)

『野茂英雄―日米の野球をどう変えたか』(ロバート ホワイティング著) イチローは記録に残る選手かもしれない。でも、記憶に残る選手は野茂英雄だ

野茂英雄というピッチャーは、”トルネード”と呼ばれる独特のピッッチングフォームから繰り出される速球と、落差のあるフォークボールで見るものを魅了するピッチャーである。彼がメジャーリーグに挑戦しなければ、イチローも松井秀喜もメジャーリーグに行くことはなかっただろう。この本は、そんな野茂英雄の生きざまと、野茂英雄がアメリカと日本の野球界に及ぼした影響についてまとめた本である。

著者は、野茂のメジャーリーグ挑戦を、日本とアメリカの野球を変えた歴史的快挙と言う。野茂がメジャーリーグでレビューした年は、メジャーリーグのストライキのあった翌年で、前年のストライキの影響でアメリカはメジャーリーグ離れ、メジャーリーグに対する不満が渦巻いていた。
そんな中登場したのが野茂英雄という日本人。当時のアメリカ人は日本で野球が行われていることすら認知していなかったという。そんな国から登場したピッチャーが、独特のピッチングフォームから繰り出される速球とフォークボールでメジャーリーガーたちからばっさばっさと三振を獲っていく。しかも、その姿は金まみれで慢心しているメジャーリーガーと異なり、野球というものにストイックに取り組んでいる。日本の自動車と電化製品を売る、顔も名前もない日本人しか知らなかったアメリカ人が、初めて、個性と名前を持った日本人に出会った瞬間である。

一方、野茂は日本の野球を変えた。野茂は、任意引退というウルトラCで、メジャーリーグへの道を拓いた。それは日本プロ野球の規約の抜け穴であったため、当時は日本野球の裏切り者という批判もあったという。しかし、わが道を信じる野茂は、そんな批判をもろともせず、アメリカで結果を出すことで、そんな批判を撥ね退けた。そして、それが、日本のプロ野球を動かし、イチローや松井秀喜といった選手がメジャーリーグに挑戦する道を拓いた。

野茂の後、雨後のタケノコのごとく、多くの日本人野球選手がメジャーリーグに挑戦してきたが、失敗した例も多い。それは、心構えが全然できていないからだとも言える。お金目当てでメジャーリーグに行った選手は間違いなく失敗するし、そういう選手が後続の選手の足を引っ張っている。井川慶や松坂大輔に巨額のお金を払い、そのお金に見合う活躍ができていない状況で、日本人選手の評価は下がる一方だ。

イチローは歴史に残る活躍をしている。イチローは間違いなく野球殿堂に入る成績を残しているが、イチローは記録に残る選手であって、記憶に残る選手は野茂だ。2度のノーヒットノーラン。何度も何度も復活した強靭な精神力。ボロボロになっても投げ続けた姿は、アメリカ人の心に強烈な印象を残したに違いない。

そして、その姿は、野茂と同世代の日本人の心の励みになった。かくいう私もそのひとりである。例え日本シリーズの解説で居眠りしても、野茂は凄いなあ、と思うのである。

野茂英雄―日米の野球をどう変えたか (PHP新書)Book野茂英雄―日米の野球をどう変えたか (PHP新書)

著者:ロバート ホワイティング
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