« ドタバタでドラマの体を成さなくなってしまったURAKARA | トップページ | 演劇『南へ』 14年ぶりに観た野田秀樹の芝居は、「老舗のラーメン屋に久しぶりに入ったら、いつの間にか味が変わっていた」という印象だった »

2011年2月19日 (土)

『死亡フラグが立ちました!』(七尾与史著) 人生はフラグと条件分岐の連続である。しかしそれが”死神”に操られているとしたら・・・

良く行く書店でお薦め本の棚に並んでいたので買って読んでみた。まず、タイトル=『死亡フラグが立ちました!』が面白い。「死亡フラグ」というのは、ドラマとかで、こういう展開なら、コイツは間違いなく死ぬな、というサインのようなもの。例えば、地球に残してきた婚約者の写真を見せて「戦争が終わったら彼女と結婚するんです」といってモビルスーツに乗って出撃するパイロットは間違いなく、その戦闘で死ぬ。ミステリィで別れ際に謎の言葉を残して去って行った美女は間違いなく失踪するし、ある時期ネットでエヴァやカツマーの悪口を書きこむこともある意味死亡フラグが立つ、ということだった。

「フラグ」という言葉は、私の仕事をしている業界では馴染みが深い。フラグというのは状態を表し、今の状態がA1ならばBを、A2ならCになる、というもの。そういう現在の状態による分岐を判断する条件となるものをフラグという。それはプログラムの処理だけにとどまらない。映画やドラマの展開は、そのフラグとそれによる分岐により構成されているとも言えるれる。いわば、作者が物語をもっていきたい方向にフラグを操作することが、その物語を決める、とも言えなくもない。

しかし、それはプログラムや映画やドラマの話だ。しかし、それが、実生活で起こっているかもしれない、というのがこの小説の肝である。

一見、誰の目から見ても事故と思える死。酔っ払い運転の車に運悪くたまたま撥ねられて死亡する、エロビデオを観ているとビールが飲みたくなり冷蔵庫にビールを取りに行こうとしたときに転び運悪くたまたま床に置いてあった鉄アレイに頭をぶつけて転倒死する。しかし、それらが、”死神”の手の上で起こっている、仕組まれたものだとしたら。そんな都市伝説というかトンデモな物語である。しかも、その凶器が「バナナの皮」という今どきテレビのコントでも使われないような子供じみたものである。

人生はフラグと条件分岐の連続である。しかし、何が「死亡フラグ」なのか、もしかしたらわからないかもしれない。作中にも出てくるが、この作品は映画『ファイナル・ディスティネーション』を思い起こさせる。飛行機事故という死を免れた若者たちが、”死神”に取りつかれたかのように、ありえないような死を迎えていく、というホラー映画。ひとは誰もが死というものから逃れられないが、しかし、自分が”死神”に取り憑かれているとは思わないものだ。

しかし、この物語には、”死神”が存在する。そして、”死神”に近づく者にも着実に死神の影が迫る。主人公たちは生き残ることができるか。トンデモ物語なのだが、最後まで一気に読ませる作品だった。

死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)Book死亡フラグが立ちました! (宝島社文庫) (宝島社文庫 C な 5-1)

著者:七尾 与史
販売元:宝島社
発売日:2010/07/06
Amazon.co.jpで詳細を確認する

« ドタバタでドラマの体を成さなくなってしまったURAKARA | トップページ | 演劇『南へ』 14年ぶりに観た野田秀樹の芝居は、「老舗のラーメン屋に久しぶりに入ったら、いつの間にか味が変わっていた」という印象だった »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

フォト

他のアカウント

2019年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

気になる、気になる

  • ざっくばらん坊 on twitter
  • amazon
  • blogram
  • 人気ブログランキング
無料ブログはココログ