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2011年1月 8日 (土)

『クロスファイア(下) 』(宮部みゆき著) この作品は、宮部みゆきのターニングポイントになった

私はこの『クロスファイア』という作品は、宮部みゆきという作家のターニングポイントとなった作品だと思っている。宮部みゆきの作品は、『クロスファイア』前と『クロスファイア』後にはっきりと分けられる。

『クロスファイア』前の宮部みゆき作品は、ミステリィ+人情、優しさである。彼女の『クロスファイア』前の作品の多くは、探偵役が、優しさと強さを併せ持った善良な市民である。

しかし、90年代半ばになって、凶悪犯罪が多発し、善良さでは太刀打ちできなくなってきた。そこで登場するのが、『クロスファイア』の主人公・青木淳子のような、ひとを一瞬で焼き殺せるような特殊な力を持つ、すなわち、。悪に対して絶対的な力で立ち向かえる女性である。

まだ、この『クロスファイア』では、石津ちか子のような、優しさと強さを併せ持った善良な市民が登場する。そして、この物語のラストには、物語の前半に登場した人物が登場する。この展開は素晴らしい。悪に染まらず、悪から抜け出した女性。青木淳子に焼き殺されずに生き延びた女性が、ひとかけらの優しさを見せる。私はこのラストが好きで、条件反射的に泣ける。

しかし、『クロスファイア』後の宮部みゆき作品では、悪が善を凌駕している。『クロスファイア』後の宮部みゆきの代表作とされる『理由』や『模倣犯』は、善は悪に敵わないという無力感がありありと漂う。かっての宮部作品の人情は、江戸ものにのみ見られるだけで、現代ミステリィでは観られなくなった。

そのことが、私は残念でならない。そして、だからこそ、この『クロスファイア』は宮部みゆきのベスト作品のひとつだと思うのである。

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著者:宮部 みゆき
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