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2011年1月15日 (土)

『街場の大学論 ウチダ式教育再生』(内田樹著) 退官間近のウチダセンセーの大学人としての最後の”教育論”。楽しく読まさませていただきました

退官間近のウチダセンセーの大学人としての最後の”教育論”。といっても、『狼少年のパラドクス』(2007年)に対談を1つ追加したもの。教育論としては、最近の『街場の教育論』や『先生はえらい』の方が、ウチダセンセーの教育に対する思いが伝わるのではないかと思う。

大学のレベルダウンについてはよくマスコミが話題にするが、教育レベルの低下は高校までの教育レベルのツケを大学が払わされていることを指摘し、また大学卒を即戦力としてそういう教育を大学に求める企業に対しては大学はそういう実学のみを教える場ではないことを指摘する。

ウチダセンセーがよく言われる、「市場原理」を教育や学びの場に持ち込むことの弊害は、まさに大学という教育機関が直面する最大の課題であろう。少子化が進み18歳人口が減る傾向にあるにも関わらず、大学は淘汰・統合が進みマンモス化し、企業が求める即戦力たる人材を輩出(というか排出)する機関になり果てている。

そんな中、第10章の文部省の杉野氏との対談が面白かった。文部省批判の急先鋒たるウチダセンセーと文部科学省のお役人。大学の管理を強化しようとする文部科学省に対し、ウチダセンセーは大学と研修者はなるべくほっといて欲しいと言う。両者の立場は対極的でもあるが、しかし、両者が歩み寄る余地はまだまだ残されているようである。
ウチダセンセーともあろうひとがお役人のリップサービスを見抜けないわけがないので、この対談が一筋の希望の光のように思えた。

中盤のウチダセンセーの高校時代と高校時代のご友人との思い出話は、私がまだ生まれていなかった、その時代の雰囲気が伝わってきた。ああいう時代の雰囲気というか、ああいう匂いのする空間がこの日本にもあったのだなあと思う。世代が変われば空気も匂いも変わる。どの時代が良かったか、というものではないのだけれど、こうやって語れる時代があるということは羨ましくも思える。

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著者:内田 樹
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