『内藤忍お金の話をしませんか』(内藤忍著) 蓄えるべきお金と、使ってもよいお金。そのバランス感覚をシッカリ身につけていきたいものだ
内藤忍さんの『日経マネー』誌での連載や対談などの記事をまとめたムック本。今はやめてしまったのだが、『日経マネー』は一時期、毎月買って読んでいた。こういうマネー誌は、どうしても目先のトレンドや小手先のテクニックの話題が多い。それは、短期でなるべく資産を増やしたいという読者が多いからだろう。私はそういうものには興味がない。
そんな中、内藤さんの連載記事は、言っていることがきわめてまっとうで、信頼できると思っていた。
内藤さんの進める資産運用は、「手間」をかけない、「時間」をかけない、「ストレス」をかけない、というのが、基本だ。そのためには、無理せず資産運用を続けられる「しくみ」を作ることと、大勝しようとせずに、平均点を狙って、「インディックス」投資を勧めている。
素人がいくら頑張ってもプロには勝てないし、プロの世界でも、勝つのが難しいのが投資の世界。だから、投資でひとを出し抜いて大儲けしようなどと考えること自体、間違っている。そしてその間違った戦略によって、ヒヤヒヤ、ドキドキ、オロオロすること自体、愚かしいことだ。
生きていく上で、お金は大切。だから、私たちはもっとお金についてフランクに、オープンに話をしてもよいと思う。この本のタイトルは、まさに、それ。
そして、お金は、いざというときに蓄えておくべきものだが、一方で、いざというときに蓄えておきすぎて、お金を使わないというのも、楽しみのない、味気ない生活になってしまう(楽しいことには、お金がかかるのです!)。蓄えるべきお金と、使ってもよいお金。そのバランス感覚をシッカリ身につけていきたいものだ。
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著者:内藤 忍 |
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