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2010年11月12日 (金)

『戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則』(ウィリアム・ダガン著) 目的地を定めない方が、より大きな可能性や”ひらめき”を生む

この本は、「戦略的直観」についての研究をまとめた本である。しかし、「戦略」という言葉と、「直観」という言葉を結びつけることは難しい。「戦略」というものは、練りに練った計画に基づくもののように思えるし、かたや「直観」というものは、一瞬のひらめきによってもたらされるもののように思える。いわば、相反するかに思われる「戦略」と「直観」が結びついたもの、それが「戦略的直観」という思考だと言う。そして、「戦略的直観」が既存の世界観を革新するようなすばらしいアイディアに結びついてきた、と言う。

この本では、まず、トーマス・クーンの科学的発見についての研究から言及する。クーンと言えば、「パラダイム・シフト」。科学が古いパラダイムから新しいパラダイムにいかにして転換していったかを研究したものだが、科学の革新は、無から突然生まれたのではなく、既存の発見や研究が蓄積され、それらを組み合わせることによって、ブレイクスルーが起きたことを明らかにする。科学の発見における”ひらめき”が、既存の発見や研究の成果を結びつける。そこにはある種の”戦略”が含まれる。それは直観的でもあり、戦略的でもある。そして、それは、予期せずに起こり、予期せぬ結果をもたらす。

”戦略”とは、目的地(B地点)を決め、現在地(A地点)から、目的地(B地点)に向かっていかに効率的に(速く、最短距離で、ムダなく)進むことができるか、ととらえがちだ。しかし、この本では、その考え方には否定的だ。”戦略的直観”は、予期せず起こり、そして予期せぬ結果をもたらすものであり、予め目的地(B地点)を決め、現在地(A地点)から目的地(B地点)というルートを決めることは、”ひらめき”が生まれる可能性を狭めることだからだ。
また、目的地(B地点)を1つに固執するのではなく、臨機応変に目的地をC地点に変える、また、同時に、D地点、E地点といった目的地を見据えておくことも、”ひらめき”が生まれる可能性を高めることだとも言う。

この本では、クラウゼヴィッツの戦略についての考え方や、ナポレオンの戦争、ビルゲイツやグーグルを例にとって、目的地(B地点)を決め、現在地(A地点)から、目的地(B地点)に向かってわき目をふらずに突き進むのが”戦略”ではない、と説いている。むしろ、そういう”戦略”が”ひらめき”や可能性を狭めているとも言う。

しかし、”ひらめき”を起こすためには、その土壌には、”蓄積”が必要である。それがないと、”ひらめき”など生まれることはない。そして、”ひらめき”はいつ起きるかわからない。その機を観て動ける備えが必要だし、そのためには勤勉であることが必要とされる。また、そこで動くためには、意志の力も必要とされる。

とにかく、”あるべき自分”を追い求めるのではなく、チャンスを逃さないことが、最大の”戦略”であると言える。

戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則Book戦略は直観に従う ―イノベーションの偉人に学ぶ発想の法則

著者:ウィリアム ダガン
販売元:東洋経済新報社
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