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2010年11月25日 (木)

『タイムスリップ紫式部』(鯨統一郎著) たしかに、源氏物語はミステリィの宝庫

鯨統一郎の”タイムスリップ”シリーズ最新刊。”タイムスリップ”シリーズは、森鴎外が現代の渋谷にタイムスリップしてきたことから始まった。森鴎外の死の直前の謎の失踪、その当時の文壇の状況などを織り交ぜながら、しかし、そういった仕掛けも、結局は森鴎外に渋谷でラップを歌わせるのが目的だったという、なんともおバカな作品だった。そして、これが、このシリーズの最初で最後の最高傑作である。

今回のお題は、”源氏物語”。冒頭から授業中にムチを振りまわす教師が登場し、なんともナンセンスなのだが、女子高生が、平安時代にタイムッスリップし、しかも紫式部と清少納言に憑依する。そして、時の権力者である藤原道長が殺される。紫式部と清少納言がその謎解きに挑む、というもの。

それに織り交ぜて、”源氏物語”にまつわる話、例えば、「輝く日の宮の巻」(藤壺の巻)がどうして失われてしまったのか、とか、紫式部と清少納言がどうして仲が悪かったのか、とか、どうして光源氏は当時の恋愛の手続きを経ずに、無理やりに女たちと契りを結ぼうとしたのか、とか、なかなか興味のある話題をちりばめている。

まあ、話半分にしておいた方が良いが。

この物語は、吉本隆明の『源氏物語論』をベースに構築されているようだ。源氏物語の女たちは、とにかく光源氏を”拒む”。その究極は浮舟だと思うが、ああいう形で源氏物語という物語を終わらせてしまう紫式部という女性は、あの時代においては先進的であり、それゆえに不幸を抱えていたのだろうと思う。

私は紫式部は光源氏の内実などどーでも良いと思っていたのではないかと思っていたのだが、いや、だからオトコって嫌よねー、って思っていたのかもしれない。

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