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2010年10月18日 (月)

『帰って来た桃尻娘』(橋本治著) 橋本治にとって、”女”に不思議はない。”男”こそが、なんだかよくわからない存在である

桃尻娘こと榊原怜奈さんが、浪人生活に別れを告げ、花の女子大生に。前作の「その後の仁義なき桃尻娘」は、リレー形式で綴られていましたが、「帰ってきた桃尻娘」は、榊原怜奈さんのワンマンショーです。

彼女は、まず、醒井涼子にムカツキます。醒井涼子というのは、典型的な”女”ですね。桃尻娘は、まず、”女”にムカツキます。これが、花の大学生になる前の、最後の桃尻娘のムカツキ。高校生のも野尻娘は、とにかく頭の中で、独りでムカツいていました。彼女は彼女を取り巻く状況すべてにムカツいていました。ザッツ、桃尻娘。

しかし、ロクな男がいない早稲田大学に入学し、花の女子大生になった桃尻娘は、田中クンという美少年に出会います。可愛い田中クンに、桃尻娘の頭の中には、が増えます。とにかく、ばかりです。後に”桃尻語”と呼ばれる文体は、ここに完成します。そして、桃尻娘は、ムカツかなくなります。周りの男はダサかったり、可愛いけれどなんだかよくわからなかったり、ゴムの壁みたいにぶつかろうとしても思いっきりぶくかれなかったり。でも、桃尻娘は、ムカツかなくなる。

橋本治という作家は、ヘンテコリンな思い方をする作家である。

橋本治にとって、”女”というものは、判り切った存在である。そして、”男”というものは、なんだかよく判らないもの、である。

男性作家にとって、”女”はわけのわからない存在である。だから、わけのわからない”女”を描こうとする。女性作家にとって、”男”はわけのわからない存在である。しかし、女性作家は、そういうわけのわからない存在を棚上げして、わけのわかっている”女”を描こうとする。
橋本治は男性作家でありながら、”女”はわけのわかっている存在である。だから、桃尻娘こと、榊原怜奈は、橋本治が思っているように、ものを考え、感じ、そして動く。しかし、桃尻娘の周りの男たちは、どいつもこいつも、わけがわからない。源ちゃんにしても、磯村クンにしても、田中クンも利倉クンも、何を考えているのか、よくわからない。ボーッとしているようにも思えるし、そういう空白を抱えている存在というものは、不思議で、なんだかよくわからない存在である。

”男”というものは、なんだかよくわからない存在である。だから、橋本治は後に光源氏を一人称で語らせようとする。紫式部にとって、光源氏の内実なんてものは、どーだってよいものだったに違いない。しかし、”男”というものが、なんだかよくわからない存在である橋本治は、そのなんだかわけのわからないものに、内実を求める。

”桃尻語”の完成とともに、桃尻娘こと榊原怜奈さんの役割は終わりつつある。桃尻娘シリーズの後半は、まさに、このわけのわからない男たちの物語になっていく。

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