『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(名越康文著) 過去でも未来でもない、”今”この時に集中しよう!
今の日本は”閉塞感”が蔓延していると言われる。新卒の若者に職がなく、職についてもすぐに辞めてしまったり、長年働き続けていてもリストラに合うかもしれない、職を失ってしまうかもしれない、という不安も抱えている。そして、毎年3万人以上のひとが自ら命を絶っている。この国は確かに生きづらい国になっている。
そういう生きづらい国、生きづらい時代にあって、どうストレスなく生きていくか。
まず、”怒らない”こと。そのためには、目先の損得勘定(相手が得している、自分が損しているという思い)に惑わされないこと。
そして、幸福にも苦痛にも、”執着しない”こと。幸せなことも、嫌なことも、すべては過ぎ去る。それに執着することは、過去に囚われること。同じように、未来にも囚われないこと。
そうならないためには、名越センセイは、”今”という瞬間に意識を集中することを心がけるべき、だと言う。例えば、今、目の前にある仕事に集中する。嫌だなあ、自分には向いていないなあ、自分はこんなことをするためにいるんじゃないのになあ、、、そういう思いこそが、ストレスを産む。嫌な仕事でも、不得手な仕事でも、誰でもできそうなルーチンワークだとしても、それは、”誰かのために”求められている仕事であり、そういう仕事であっても、自分の創造性や独創性を発揮できることがきっとある。試行錯誤の中から、自分そして、目の前の仕事にきちんと取り組むことが、自分の評価を高める。やたらと自己主張しなくても、評価はついてくる。今の若いひとたちは、それに気づかないひとが多い。
今に集中しないひとに未来はないし、そうしないとひとは過去に囚われてしまう。自分の人生は結局は自分のもの。自分で責任を負うしかない。しかし、そう気負わずに、でも、開き直って生きていけばよい。
![]() | ![]() | 心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」 角川SSC新書
著者:名越 康文 |
« 『赤朽葉家の伝説』(桜庭一樹著) 自分が生まれてきた時代がどんな時代であれ、その時代を精いっぱい生きる。そうするしかない | トップページ | 『GOSICKsII―ゴシックエス・夏から遠ざかる列車―』(桜庭一樹著) ”別れ”の予感が、幼い彼らの物語を切なくさせる »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 【安吾を読む】『木枯の酒倉から 聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話』「俺の行く道はいつも茨だ。茨だけれど愉快なんだ。」(2014.07.11)
- 『金融緩和の罠』(藻谷浩介・河野龍太郎・小野善康著、萱野稔人編)金融緩和より雇用を増やすことこそがデフレ脱却の道。(2014.07.10)
- 『ひとを“嫌う”ということ』(中島義道著)ひとを「嫌う」ということを自分の人生を豊かにする素材として活用すべき。(2014.07.09)
- 【安吾を読む】『街はふるさと』「ウガイをしたり、手を洗ったりして、忘れられないようなことは、私たちの生活にはないのです。」(2014.07.08)
- 『天災と日本人 寺田寅彦随筆選』(寺田寅彦著,山折哲雄編)地震や津波といった天災からこの国を守ることこそが「国防」である。(2014.07.04)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント