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2010年9月16日 (木)

『身体を通して時代を読む―武術的立場』(甲野善紀、内田樹著) 武術家は”小成”は”大成”を妨げるというが、本当にそうだろうか

甲野善紀さんという武術研究家の方と、内田樹センセーの対談集。タイトルからもわかるように、”武術家”の立場から、世の中を語っている。なんでも、”武術家”はあらゆる問題にも適切に対処しなければならない、そうです。ふたりの対談は、まさに真剣勝負。切るか切られるか、ではなく、真剣を抜いた状態で対峙しているような緊迫感がある。

甲野先生は、自分はまだまだ道半ばの発展途上、したがって、ストレスがない、という。そして、何かにつけて「小成は大成を妨げる」という。これは、”武術家”ならではの姿勢であろう。”武術家”ではない私なぞは、決して達することにない境地である。

この考えは、大成するために暗野を歩き続ける、ことだ。普通の人間にはやはり耐えられないだろう。それよりは、一里ごとに仄かな光が見えた方が、暗野も迷わずに歩くことができる。あの光まで、と思えば、小さな勇気も湧く。

ミステリィ小説で、大きな謎がある。その謎を解き明かす道は2つある。ひとつは、最後の最後で、とてつもないブレイクスルーが起きて、一気に謎が解けるという道。これは”武術家”タンテイの道だ。もうひとつが、大きな謎に辿り着くまでに小さな謎をどんどん解き明かしていく。小さな謎を解き明かすとまた謎が現れる。その謎を解いていくと、また次の謎が、そうしていくうちに、最後には大きな謎を解けるようになる、という道だ。つまりは、”小成”を積み重ねることによって、”大成”に辿り着く、という道だ。

若者は、自分はもっとできるはず、と思っている。だから、できない自分に悩む。若者は自分は”大成”すると思っているが、そんなにすぐに”大成”できるわけではないので、だから、すぐに諦めたり、ひきこもったりする。
”武術家”のようなブレイクスルーが起きる、というのは、にわかに信じられないし、そういうものをアテにすべきではない。

若者に必要なのは、”小さな成功”の積み重ねだと私は思う。”小さな成功”の積み重ねが、ブレイクスルーを起こす。確かに、”小成”に満足していてはだめで、肝心なのは、ブレイクスルーを起こすまで歩き続けるということだ。歩き続けた者だけに、ブレイクスルーは起きる。

”武術家”どうしの対話は、それはそれで面白いのだが、どうも身体的に思考することができなかった。それだけ、身体的な感覚が失われているせいかもしれないが、どうも”小成”が”大成”を妨げる、という物言いには最後まで賛同できなかった。

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著者:甲野 善紀,内田 樹
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