映画『ベスト・キッド』 アメリカ人が身につけるべき”強さ”を指し示す映画
『ベスト・キッド』
監督:ハラルド・ズワルト
『ハラルド・ズワルト』のリメイク。かって『ベスト・キッド』と言えば有名だけれど、それほど面白くもない映画の代名詞のようなものだったのだが、、、
このリメイク版では、カラテがカンフーに、師匠が日本人から中国人に、舞台が西海岸から太平洋を渡って中国に、変わったことだろう、これらの意味はもうすごく大きい。
デトロイトで職を失った母と子は、太平洋を渡り新天地を中国に求める。アメリカ人のGO WESTは、ついに太平洋を渡る。(だから、アメリカは沖縄の基地を手放さない。)
この映画で描かれる中国は、そこは強いものが勝つ、情け容赦なく勝つ、世界である。かってのアメリカが中国になった。そして、その中国に渡ったアメリカ人は、”いじめ”にあう。孤立無援の少年を救うのは、しがないマンションの管理人。彼が少年に教えるのはカラテではなく、カンフーである。
イジメられなくなるためには、強くなるしかない。そして少年は強くなるが、少年が身につけるのは、それは情け容赦なく勝つ強さ、ではない。”恐れずに眠る”ための強さである。相手をコテンパンに叩きのめすのが本当の強さではないのだ。オランダ人監督がアメリカに語りかけているようだ。
師匠役はジャッキー・チェン。かってカンフー映画では、永遠の弟子であった彼が、師匠となる。東洋人からすると、そこにあるのは”師弟”関係だと思うのだが、アメリカ人の弟子は中国人の師匠を最後に”友だち”と呼ぶ。これが欧米人の感覚なのだろう。
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