『ドラッカー名著集1 経営者の条件』(P.F.ドラッカー著) 組織のために何をすべきか。”成果”を上げる能力は修得できる
『もしドラ』のおかげですっかり、ドラッカー・ブームだが、そのブームに遅まきながら、ドラッカーを読んでみた。選んだのは、『経営者の条件』。この本は、経営者のための本ではなく、上司に命令されたこと以上の成果をもとめられる、あらゆる組織で働くひとに向けられた本である。
(本書では、”エクゼクティブ”と読んでいるが、私は、あえてこの呼び方をしない。)
組織で働くひとたちに求められるのは、”成果”を上げることであり、”成果”を上げる能力は修得できる、ということが本書のエッセンスである。”成果”を上げる能力は先天的に持っているものではなく、後天的に身につけられるものだとする。そして、それは教えられて身に着くものではなく、自分が学びとっていかなくては身に付かない。
そのためには、まず、タイムマネージメントである。自分が何に時間を使っているか、を知ることがスタートだ。そして、自分が”成果”を上げるためには、何に注力すべきか、何の時間を省くべきか、を考え実践していく。
そして、”成果”を上げるためには、”自分が何がしたいか”ではなく、組織のために”自分が何ができるか”を考えるべきである。他人のために、組織のために働く、それが、自分の能力を引き出し開花させる。自分が、自分が、ではダメである。”成果”とは他人のため、組織のための貢献によって計られる。
そして、組織は、そこで働くひとたちの”強み”を活かすべきだと説く。”弱み”を補強するのではなく、”強み”を伸ばす。”弱み”を減点して人事考課を行うのではなく、”強み”を評価する。ドラッカーは日本の終身雇用は様々な問題があるとしながらも、”強み”を伸ばそうとするしくみは評価できるとしている。
組織で働くひとは、”成果”を上げるための能力を修得し、組織はそれを活かすために”強み”を伸ばし、”成果”を上げるために集中できる環境を整える。個人と組織が両輪を回すことで、”成果”を上げることができる。
最近はとかく、個人の能力を伸ばす、ということが言われがちだが、その能力は、他人のため、組織のために貢献することができなければ、なんの価値もない、ということを忘れてはならない。
![]() | ![]() | ドラッカー名著集1 経営者の条件
著者:P.F.ドラッカー |
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