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2010年6月 8日 (火)

『聖徳太子と日本人』(大山誠一著) 聖徳太子は存在しなかった。しかし、何故、聖徳太子という”発明”がなされ、日本人は聖徳太子を信仰してきたのか。そのことが興味深い

厩戸王は聖徳太子と呼ばれる人物だ。厩戸王は実在した。しかし、彼について確かと言えることは次の3つだけ。
・用明の子であったこと
・厩戸という名であったこと
・斑鳩に住み、斑鳩寺を建てたこと

厩戸王が、聖徳太子が為したとされることを為したということを実証するものは、何もない。

著者は歴史学者であり、徹底した実証主義者と言える。”証明できないものは存在しない”。ゆえに、聖徳太子は存在しなかった。存在したと言うのであれば、証明してみせろ、というのが著者の姿勢である。

歴史は、すでに起こったことの積み重ねである。ゆえに、それは”確かなもの”だと思われがちだ。しかし、歴史は”確かなもの”でもなんでもない。歴史は為政者や民衆の都合の良いように、後から塗り替えられる。

何故、聖徳太子という”発明”がなされたのか? それは、藤原不比等と長屋王により、天皇を神格化し、天皇の権威を早急に内外に示す必要があったためであった。
その後、光明皇后や鑑真の弟子たちが、聖徳太子信仰を作り上げていく。そして、日本人は、聖徳太子を信仰していく。

何故、聖徳太子という”発明”がなされたのか? そして、何故、日本人は聖徳太子を信仰してきたのか? それを探求していくことは、”日本人”とはなにものなのかをひも解くカギとなるかもしれない。

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