桜庭一樹『私の男』の不気味さは、「私の男」がのっぺらぼうなところだ。
桜庭一樹の直木賞受賞作。
「私の男」と私の別れから、私と「私の男」との出会いまでを遡っていく物語。雨の銀座から暗い北の海に物語は遡って行く。
この物語の不気味さは、「私の男」がのっぺらぼうなところだ。まったく、この男はわけがわからない。そういう男に幼いころに囚われてしまった主人公。家族というものがわからずに、家族というものを作ろうとして、抜け出せなくなっていく。
なんとも、暗い物語だ。
![]() | ![]() | 私の男 (文春文庫)
著者:桜庭 一樹 |
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