勝間さん、努力で幸せになれますか
『勝間さん、努力で幸せになれますか』
勝間 和代 , 香山 リカ (著)
朝日新聞出版
この話題はすっかり沈静化しているのだが、今さらながら、読んだ。
この対談は、最初から最後までかみ合わないのだが、それは、彼女たちが自分たちの立脚点を対極に置いて、そこから動じないからだ。
こういう議論は、「アメリカの味方か、テロリストの仲間か」「郵政民営化、賛成か、反対か」というような、問答無用の二元論になってしまっている。
カツマー=努力するひとたち。
非カツマー=努力しないひとたち。
本当に、そんなにくきりと線引きできるものなのだろうか。
ひとは生きていく限り、なんだかの努力をしているものだ。嫌々させられる努力もあるし、買ってでもしたい努力もあるだろう。ただ苦しい努力もあるし、思いがけずに楽しい努力もある。そういう多様性をこういう議論は吹き飛ばしてしまう。
やらなければできないのは正しいが、やればできるというのは必ずしも正しくはない。この手の議論が危険なのは、できないのは、努力が足りないからだとか、努力のし方が間違っているだとか、できないのは自分の能力が足りないと思いこませてしまうことだ。
努力しても報われないことはあるし、スーパーマンには決してなれない。
「何に努力すると一番リターンが高いかということばかり考えてしまう」という勝間さん。投資に対する収益率を最優先に考えるのはさすがは経済評論家、と言いたいところだが、短期でそれを追い求めていると、たぶん、いろいろな可能性を見過ごしてしまう。
アウトプットだけを追求する努力は、目標地点には早く到達できるかもしれない。しかし、道草をすることで、思いがけない楽しみを発見することもある。そういう道草をできる余裕、楽しみを発見できる目、楽しめる気持ちを持つということの方が、効率を追求することよりも、大切ではないだろうか。

勝間さん、努力で幸せになれますか
勝間 和代 , 香山 リカ (著)
朝日新聞出版
この話題はすっかり沈静化しているのだが、今さらながら、読んだ。
この対談は、最初から最後までかみ合わないのだが、それは、彼女たちが自分たちの立脚点を対極に置いて、そこから動じないからだ。
こういう議論は、「アメリカの味方か、テロリストの仲間か」「郵政民営化、賛成か、反対か」というような、問答無用の二元論になってしまっている。
カツマー=努力するひとたち。
非カツマー=努力しないひとたち。
本当に、そんなにくきりと線引きできるものなのだろうか。
ひとは生きていく限り、なんだかの努力をしているものだ。嫌々させられる努力もあるし、買ってでもしたい努力もあるだろう。ただ苦しい努力もあるし、思いがけずに楽しい努力もある。そういう多様性をこういう議論は吹き飛ばしてしまう。
やらなければできないのは正しいが、やればできるというのは必ずしも正しくはない。この手の議論が危険なのは、できないのは、努力が足りないからだとか、努力のし方が間違っているだとか、できないのは自分の能力が足りないと思いこませてしまうことだ。
努力しても報われないことはあるし、スーパーマンには決してなれない。
「何に努力すると一番リターンが高いかということばかり考えてしまう」という勝間さん。投資に対する収益率を最優先に考えるのはさすがは経済評論家、と言いたいところだが、短期でそれを追い求めていると、たぶん、いろいろな可能性を見過ごしてしまう。
アウトプットだけを追求する努力は、目標地点には早く到達できるかもしれない。しかし、道草をすることで、思いがけない楽しみを発見することもある。そういう道草をできる余裕、楽しみを発見できる目、楽しめる気持ちを持つということの方が、効率を追求することよりも、大切ではないだろうか。

勝間さん、努力で幸せになれますか
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 【安吾を読む】『木枯の酒倉から 聖なる酔つ払ひは神々の魔手に誘惑された話』「俺の行く道はいつも茨だ。茨だけれど愉快なんだ。」(2014.07.11)
- 『金融緩和の罠』(藻谷浩介・河野龍太郎・小野善康著、萱野稔人編)金融緩和より雇用を増やすことこそがデフレ脱却の道。(2014.07.10)
- 『ひとを“嫌う”ということ』(中島義道著)ひとを「嫌う」ということを自分の人生を豊かにする素材として活用すべき。(2014.07.09)
- 【安吾を読む】『街はふるさと』「ウガイをしたり、手を洗ったりして、忘れられないようなことは、私たちの生活にはないのです。」(2014.07.08)
- 『天災と日本人 寺田寅彦随筆選』(寺田寅彦著,山折哲雄編)地震や津波といった天災からこの国を守ることこそが「国防」である。(2014.07.04)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント