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2009年12月29日 (火)

夜想

『夜想』
貫井 徳郎(著)
文春文庫

貫井作品は、後半に行けば行くほど、暗い闇に迷い込むようで、最後は読んでいて息苦しかったり、最後に暗澹たる気持ちで読み終わるものが多い。

この作品もそういうパターンになるのだろうな、と読み進めていくと、そうならなかった。貫井作品の中では久々のヒット。

「ひとを救うということはどういうことなのか」「ひとに救われるというのはどういうことなのか」を、この作品では問い続けている。
妻子を交通事故で亡くした主人公は、霊的な能力を持つ少女によって「救われた」と思い、その彼女のために尽くそうとするのだが、実は「救われた」という思いも、彼女のためにという思いも、幻想でしかなかったということに気づく。

ひとはひとを救えない、自分を救うのは自分しかいない、という真実の対岸に、ひとはひとを”お互いに”救うことができる(”お互いに”しか救えない)という真実が見えてくる。


夜想




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