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2009年9月 4日 (金)

Musical ジェーン・エア

『Musical ジェーン・エア』
演出:ジョン・ケアード
日生劇場

9/4夜公演を観劇。この日は上演後に脚本家のジョン・ケアードのトークがあり、帰りは遅くなったが、ちょっと得した気分に。

ジェーン・エアには荒野が良く似合う。

ブロードウェイ版では機械仕掛けで豪華絢爛なソーンフィールド館のセットだったそうだが、日本版の舞台は荒野。それが家具等をひとが動かして屋敷になったり、庭になったり、と舞台装置がシンプルなだけに、観客は舞台上の人間を追うことになる。
オーケストラピットに蓋をして舞台が客席に突き出す形になったいたり、舞台上にも客席を設けてプチ円形劇場ぽくしてあったり、とにかく舞台上の人間が客席に近くなっているのも良い。

役者で注目したのはフェアファックス夫人を演じた寿ひずるさん。宝塚出身でミージカルや舞台を中心に活躍されている有名な女優らしいのだが、私は申し訳ないが存じ上げなかった。
この役はブロードウェイ版では多少コミカルな役の設定らしいのだが、日本版ではそれが控えめになっているため、役作りが難しくなっているに違いない。
特権階級で気品があるが華やいだ存在ではない、特権階級の誇りもあるが家庭教師でしかないジェーン・エアにも理解と愛情を示す。実質的に屋敷を取り仕切っている存在なので、舞台全体に影響力を与える力量が必要な役だけれども、それに見合う以上の存在感と演技で魅了してくれる。

演出では、孤児となったジェーン・エアを引き取ったものの愛情を注ぐことなく疎んじる叔母の死を原作とストーリーの順番を変えているところが効果を生んでいる。これにより、ジェーン・エアが到達する”赦し”というものがより強く引き立てられている。

また、原作では不美人とされるジェーン・エアの対抗馬として登場するセレブで美人なブランチ・イングラム役にオペラ歌手の幸田浩子さんを配したことも効果的だった。
彼女はミュージカルの舞台でオペラのように歌うのである。それにより、松たか子演じるジェーン・エアとは、違う・敵わない別世界の人間であることを強く印象づける。松たか子は不美人でないので、何をもって「違う・敵わない」かと思わせるか、その手段として歌い方、オペラの洗練さで示したというのが面白かった。

演出のジョン・ケアード氏はけいこ中にも何度も何度も台詞や音楽(歌詞)を変えたそうだ。そのたびに翻訳者や役者たちも大忙しだったに違い。よくついていけるなあと訳者や役者のバイタリティには感心する。
トークのとき、客席から「今観た舞台が完成形か?」という質問が出ていたが、「もう一度けいこをすれば違うかもしれないが、現時点ではかなり良い線をいっている」と演出家が答えていた。この日本公演の脚本が、今後、ブロードウェイ等で公演される『ジェーン・エア』のベースになるそうである。
そういう意味で、日本の観客は得をしている。


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