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2009年7月11日 (土)

大不況には本を読む

『大不況には本を読む』
橋本 治 (著)
中公新書ラクレ

この本の内容は、95%が、”経済”について、である。

しかし、東京大学の文III(文学その他)出身の橋本治の視点は、文I(法学→官僚)とも文I(経済→民間の経営者)の視点とも、次の2つの点において、違う。

まず、ビジネス書を上梓するエコノミストなりアナリストなりは、経済を動かす”カネ”か”モノ”もしくはその両方の視点で語る。しかし、文学者である橋本治の視点は、経済を動かす”ひと”にある。
本書で、保護主義だとか農業だとか出てくるが、時間の針を戻せ、自然に帰れ、と言っているわけではない。
経済を動かしている”ひと”よ、”ひと”に戻れ、と言っているのである

また、ビジネス書が大不況下の経済について語る場合、今後の景気はどう動くか、景気を良くするにはどうすれば良いか、という議論になる。
しかし、橋本治は、経済は循環するものであり、そもそも、産業革命以降の右肩上がりの経済成長ということ自体に疑問を持つべきではないか、と言う。

だからこそ、橋本治は、”本を読む”べきじゃないの、というのである。黒船がやってきて開国した以降の、この150年という時代を、本を読むことによって検証し直したら、というのである。

橋本治の評論を読んでいると、このひとは家内制手工業の時代にひとの幸せがあった、といいたいのではないか、と思えてくる。だから、産業革命以降ずっと続いていた右肩上がりの経済成長が破たんした昨今の状況は、氏にしてみれば、そらみたことか、という状況であろう。

しかし、氏は産業革命以前に時間を戻せ、とは言わない。そんなことができないことは百も承知だ。

それでも、私達は進んでいくしかなく、しかし、今までのやり方がまったく通用しない時代になっているこの状況下で、”本を読む”(”本を読め”と命令形ではなことに注意)べきじゃないの、というこの本は、それ故に侮れないのである。


大不況には本を読む


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