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2009年7月20日 (月)

火車

『火車』
宮部 みゆき (著)
新潮文庫

私が今もなお、宮部みゆきの最高傑作だと思っている作品。

宮部みゆきはいろいろな顔を持った作家だが、この作品は、社会派推理小説という分類になるだろうか。借金地獄、その構造を浮き彫りにしながら、そして、それは対岸の火事はなく、もしすると自分が巻き込まれるかもしれない、という緊迫感がこの作品からは感じられる。

そして、宮部作品では、やるきれない怒り、理不尽さに対する憤りが背景にあることが多いが、この作品(この頃までの作品)ではそれでもひとを信じる気持ちが一筋の希望として光を放っている。この作品における、途中から捜査に加わる保という人物の存在そのものが、それを象徴している。

この作品は、”関根彰子”という人物になりすまし、そして失踪した”新城喬子”を捜索する物語だ。何故、”新城喬子”は”関根彰子”という人物になりすまし、そして失踪しなくてはならなかったのか、その捜査の中で、彼女の孤独な戦いが浮き彫りになってくる。
その展開が見事であり、そして、本間や保が彼女に辿り着いたとき、読者も彼らと同じ感情を抱くようになるところに、この作品の素晴らしさがある。


火車


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