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2009年6月 2日 (火)

未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと

『未曾有の経済危機 克服の処方箋―国、企業、個人がなすべきこと』
野口 悠紀雄 (著)
ダイヤモンド社

サブプライムローン問題というアメリカ発の金融問題が、何故、日本の製造業に大きな打撃を与えているのか、これまでこの問題を実体経済に波及するプロセスを明確に分析したビジネス書に私は出会わなかった。
この何故、という部分について、優れた分析をしている。

アメリカの住宅バブルは、住宅は必ず値上がりするという神話が信じられ、それを見越してさらにローンを組んで車などが購入された。そのおかげで日本や中国の輸出が増え、日本の製造業は輸出に支えられて好調であった。
一方で、輸出産業を支えるため、日本政府は為替に介入して円高を支えてきた。そして、アメリカの過剰消費を実は日本と中国が支えてきた、その罪は大きい、と著者は主張する。

しかし、アメリカの住宅バブルがはじけた。住宅の値上がりを前提としたローンが組まれなくなり、車などの輸入品の消費が冷え込む。そうなると、日本や中国の輸出が壊滅的な打撃を受ける。そうなるといくら円高を支えてもダメである。アメリカの消費水準は現状の半分程度に落ち込むだろうし、

もはや、日本の輸出立国モデルは立ち行かなくなった、というのが著者の主張である。中国が大々的に輸出立国になっていった時点で、もはや日本の輸出立国モデルは立ち行かなくなっていたはずだが、日本政府による為替介入で円高を支えていたため、そのモデルで儲けることができた。しかし、輸出に過度に依存してしまったがために、輸出が立ち行かなくなり、業績がごっそり落ち込んでしまった。そして、なおも経営者たちはアメリカや中国の景気回復、それによる輸出の回復を”祈っている”。依存体質をなかなか変えることができないでいる。

それでは、日本は、日本企業は、個人は何をすべきか、というのが本書の狙いである。

個人レベルでは、金融投資よりも自己投資を、と提言する。会社が立ち行かなくなっても、個人が立ち行かなくならないように、自分に投資して、知識や技能を身につける、資格を取るべきと著者は主張する。そして、クラウドコンピューティングを利用して、より少ない資金で起業することが可能なのだから起業するのも一手だと言う。
(この部分、そんなに上手くいくのかな、と思うが、そういう挑戦も視野に入れて自己投資すべきだ、ということだろう。)

金融投資よりも自己投資というのは、これは最近の私の実感とも一致する。日本も日本の起業もこれから大転換していかないと生き残れない。これから会社もどうなっていくかわからない時代で、依っていくべきは自分である。そのためには、自分に力をつけていくしかない。金融投資にうつつを抜かすよりは、自分にしっかり投資すべきだ。
(かといって、著者が主張するように、分散投資がリスク分散にはならない、定期預金こそが正しい投資先だとも思わないが。)


未曾有の経済危機克服の処方箋


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