マネー・ボール
『マネー・ボール』
マイケル・ルイス (著), 中山 宥 (翻訳)
ランダムハウス講談社文庫
お金持ちの球団は年俸の高い良い選手を揃える。それはメジャーリーグも日本のプロ野球も同じ状況である。しかし、そういうお金持ち球団が必ずしも常勝球団にならないのは何故か?
この本で取り上げられているアスレチックスの総年俸はヤンキースの3分の1でしかないのに、互角な成績を収めることができるのは何故か?
その答えが、アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンにある。
彼は将来を嘱望された選手であったが、芽が出ずに終わってしまった選手であった。そういう彼自身の苦い経験が、彼の革新的な発想を産む土壌となった。
お金がない、それゆえに、契約金や年俸の高くないが”使える”選手を獲得しなければならない。そのために、彼はドラフトにおける古い慣習や先入観、メジャーリーガーはかくあるべき、という固定観念を捨てる。
そして、彼が重視するのは客観的な事実だけだ。出塁率と長打率。野球は塁に出ないと得点できない。塁に出るなら、シングルヒットよりも長打が望ましい。バントはアウトを増やすだけ、盗塁というリスクを冒すのはもってのほか。ブンブン振り回す選手は要らない、選球眼が良く、ピッチャーを疲れさせるバッターこそ、必要な選手。
こう並べて記述すると、あたりまえのように思える。しかし、古い慣習や固定観念はそれを常識とするのを是としない。だから、アスレチックスは勝ち続けることができる。
ビリー・ビーンは、試合の結果に一喜一憂することはない。結果は当たり前のようについてくる。
彼の仕事は安くて良い選手を”仕入れてくる”ことに尽きる。そういう選手は良いパフォーマンスを発揮し、そして、”高く売れる”。そして、また安くて良い選手を”仕入れてくる”。
つまり、彼は優秀なバイヤーである。
彼にとって、メジャーリーガーは”商品”でしかない。
一方で、ビリー・ビーンに見いだされた選手たちは、もし、彼に見いだされなかったら歩くことのできなかった栄光をつかむことができる。
バイヤーであるビリー・ビーンは、”商品”を愛してはいないが、しかし、一方で、埋もれていた才能を開花させ、それが、彼らの人生やベースボールを輝かせている。なんとも、不思議な関係である。

マネー・ボール
マイケル・ルイス (著), 中山 宥 (翻訳)
ランダムハウス講談社文庫
お金持ちの球団は年俸の高い良い選手を揃える。それはメジャーリーグも日本のプロ野球も同じ状況である。しかし、そういうお金持ち球団が必ずしも常勝球団にならないのは何故か?
この本で取り上げられているアスレチックスの総年俸はヤンキースの3分の1でしかないのに、互角な成績を収めることができるのは何故か?
その答えが、アスレチックスのゼネラルマネージャー、ビリー・ビーンにある。
彼は将来を嘱望された選手であったが、芽が出ずに終わってしまった選手であった。そういう彼自身の苦い経験が、彼の革新的な発想を産む土壌となった。
お金がない、それゆえに、契約金や年俸の高くないが”使える”選手を獲得しなければならない。そのために、彼はドラフトにおける古い慣習や先入観、メジャーリーガーはかくあるべき、という固定観念を捨てる。
そして、彼が重視するのは客観的な事実だけだ。出塁率と長打率。野球は塁に出ないと得点できない。塁に出るなら、シングルヒットよりも長打が望ましい。バントはアウトを増やすだけ、盗塁というリスクを冒すのはもってのほか。ブンブン振り回す選手は要らない、選球眼が良く、ピッチャーを疲れさせるバッターこそ、必要な選手。
こう並べて記述すると、あたりまえのように思える。しかし、古い慣習や固定観念はそれを常識とするのを是としない。だから、アスレチックスは勝ち続けることができる。
ビリー・ビーンは、試合の結果に一喜一憂することはない。結果は当たり前のようについてくる。
彼の仕事は安くて良い選手を”仕入れてくる”ことに尽きる。そういう選手は良いパフォーマンスを発揮し、そして、”高く売れる”。そして、また安くて良い選手を”仕入れてくる”。
つまり、彼は優秀なバイヤーである。
彼にとって、メジャーリーガーは”商品”でしかない。
一方で、ビリー・ビーンに見いだされた選手たちは、もし、彼に見いだされなかったら歩くことのできなかった栄光をつかむことができる。
バイヤーであるビリー・ビーンは、”商品”を愛してはいないが、しかし、一方で、埋もれていた才能を開花させ、それが、彼らの人生やベースボールを輝かせている。なんとも、不思議な関係である。

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