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2008年12月24日 (水)

希望格差社会

『希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く』
山田 昌弘 (著)
ちくま文庫

著者は所得格差より希望の格差が問題だと指摘する。すべて「自己責任」というリスク社会に放り出された日本人は、勝ち組と負け組との二極分化が起こり、負け組は負け組から抜け出すことができない。つまり、希望がない、と著者は言う。

高度成長からバブルが崩壊する90年代までの考察については、この本はなかなか的を得ている。しかし、著者が転機だったと認める1998年、小泉政権が発足したこの年以降の「希望格差」の広がりについては、不思議なほどに言及していない。

著者は教育というパイプラインが健全に機能すべきだと主張しているが、そのパイプがひび割れしてそこから漏れ出したものの受け皿がフリーターである、という著者が示す構図には疑問を持つ。

パイプがひび割れているのではない。水漏れしているのはパイプにひびが入っているのではなく、学校と社会とのつなぎ目から水漏れしているのだ。それは著者もわかっているだろうに、なぜ、このような図が提示されるのか、疑問だ。

工業高校を出た若者が工場に就職し、そこから職長やライン長、うまくいけば係長、課長という道を閉ざしているものはなにか? また、商業高校を出た若者が事務職につき、そこからスキルを磨いて総合職になり、より大きな仕事を任されていく道を閉ざしているものはなにか?
つまり、そういう若い労働力を、会社が正社員として雇用し、育成しなくなったからだ。それはニューキャピタリズムだから、と著者は言うが、著者のニューキャピタリズムに関する洞察は浅く、それが問題点をあいまいにしている。

私が思うには、派遣法の改正で工場労働や事務にまで派遣が認可されるようになったからだ。安価でいつでも雇用調整できる、企業にとっては具合のよい法改正がされたからだ。派遣法をデフォルトの13職種に戻せば、正社員としての雇用は増えるのは明らかだ。
また、また雇用を維持するためには、ワークシェアリングを推進すれば良い。雇用者の残業を減らす効果もある。労働をわかちあうことで、希望の格差は縮小されていくのではないか。

高校を卒業しても、大学を卒業しても、就職できず、フリーターになってしまうのは、企業の業績や景気のせいだけではない。そんなことは、大学で教えている著者ならわかっているはずだ。なのに、なぜ、そこにもっと踏み込んだ洞察や提案がないのか。

何かいまひとつ踏みこんだ議論に欠く印象が残った。

希望格差社会



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