魔王
『魔王』
伊坂 幸太郎 (著)
講談社文庫
考えろ考えろ、時代の雰囲気や流れに押し流されるな。
この小説が発表されたのは2005年で、コイズミフィーバーの真っただ中であった。まさに時代の雰囲気というものがあって、ひとびとはあっさりと流されてしまった。そして、今、ひとびとは認めたくはないけれどもそれが間違いだったことに密かに気付いている。
時代の流れに乗りたい、勝ち馬に乗りたい、しかし、それが本当に自分の欲していることなのか、それを自問することのないことは実は恐ろしいことなのだ。
この小説には宮沢賢治やムッソリーニや憲法第9条といったネタがふんだんに仕込まれているけれども、政治小説でも近未来シミュレーション小説でもない。作者の視点はあくまでも個人レベルにある。
大上段に政治や国益を論じるよりも、そのほうがずっと作者らしい。
続編もこの秋に出版されるようなので、それにも期待したい。
伊坂 幸太郎 (著)
講談社文庫
考えろ考えろ、時代の雰囲気や流れに押し流されるな。
この小説が発表されたのは2005年で、コイズミフィーバーの真っただ中であった。まさに時代の雰囲気というものがあって、ひとびとはあっさりと流されてしまった。そして、今、ひとびとは認めたくはないけれどもそれが間違いだったことに密かに気付いている。
時代の流れに乗りたい、勝ち馬に乗りたい、しかし、それが本当に自分の欲していることなのか、それを自問することのないことは実は恐ろしいことなのだ。
この小説には宮沢賢治やムッソリーニや憲法第9条といったネタがふんだんに仕込まれているけれども、政治小説でも近未来シミュレーション小説でもない。作者の視点はあくまでも個人レベルにある。
大上段に政治や国益を論じるよりも、そのほうがずっと作者らしい。
続編もこの秋に出版されるようなので、それにも期待したい。
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