深層「空白の一日」
『深層「空白の一日」』
坂井 保之 (著)
ベースボール・マガジン社新書
「空白の一日」といっても、野球ファンでもピンとこないひとも多いだろう。
1978年、読売巨人軍が、江川卓という投手を、「空白の一日」につけこんで横取りしようとしたことに端を発するドタバタがあった。
その当事者でもあった著者が、当時を振り返りながら、「空白の一日」で顕著となった読売巨人軍の傲慢と、その傲慢さを容認する日本野球界の体質について論を進めている。
そして、2004年の球界再編問題にも、それは顕著に顕れており、現在に至るまで、その悪しき体質が引き継がれている、というのが著者の主張だ。
また、この本は球団経営についても言及している。球団経営は決して儲かる商売ではなく、そしてもはや巨人戦の放送権収入すらアテにならなくなってきて、ますます球団経営は厳しくなっている。
著者は儲かる球団経営モデルは創れないと主張しているかのようでもあるが、儲かる経営モデルを創り上げない限り、読売巨人軍の傲慢という呪縛から逃れることはできないであろう。
それができないことこそ、日本プロ野球の限界である。
そして、いまや、日本プロ野球は、MLBの養成機関に成り下がっているかのようでもある。
坂井 保之 (著)
ベースボール・マガジン社新書
「空白の一日」といっても、野球ファンでもピンとこないひとも多いだろう。
1978年、読売巨人軍が、江川卓という投手を、「空白の一日」につけこんで横取りしようとしたことに端を発するドタバタがあった。
その当事者でもあった著者が、当時を振り返りながら、「空白の一日」で顕著となった読売巨人軍の傲慢と、その傲慢さを容認する日本野球界の体質について論を進めている。
そして、2004年の球界再編問題にも、それは顕著に顕れており、現在に至るまで、その悪しき体質が引き継がれている、というのが著者の主張だ。
また、この本は球団経営についても言及している。球団経営は決して儲かる商売ではなく、そしてもはや巨人戦の放送権収入すらアテにならなくなってきて、ますます球団経営は厳しくなっている。
著者は儲かる球団経営モデルは創れないと主張しているかのようでもあるが、儲かる経営モデルを創り上げない限り、読売巨人軍の傲慢という呪縛から逃れることはできないであろう。
それができないことこそ、日本プロ野球の限界である。
そして、いまや、日本プロ野球は、MLBの養成機関に成り下がっているかのようでもある。
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